歯列矯正は医療費控除の対象?医療費控除で戻る費用を解説!

「歯並びが気になるから歯列矯正を受けたいけど、高いイメージがあって手が出せない」

そのように思っている人も多いですよね。

実は歯列矯正は、医療費控除の対象になるケースがあるのを知っていますか。

この記事では、歯列矯正は医療費控除の対象になるのか、戻ってくる費用などについて詳しく解説していきます。

通常よりも費用を抑えて、歯列矯正を受けたいという人は必見です。

ぜひ参考にしてください。

目次

歯列矯正における医療費控除とは?

医療費控除

そもそも医療費控除とは一体どういった制度なのか、知らない人もいますよね。

医療費控除とは、1年間にかかった医療費が一定額を超えた場合、所得税として還付される制度です。

本人だけではなく、扶養家族が支払った医療費も該当します。

支払った医療費がそのまま誤差として戻ってくると誤解されがちですが、支払った医療費に応じて税金を調整するというシステムです。

医療費控除が受けられる金額は?

一般的に医療費控除は、年間の医療費が10万円以上を超えた人が対象です。

しかし、年間の総所得により、10万円以下の場合も受けられる可能性があります。

医療費控除として受けられる最高金額は200万円。

総所得が200万円以上か以下で分けられ、それぞれ計算方法が違いますので、詳しく解説していきます。

年間の総所得が200万円以上の場合

年間の総所得が200万円以上の場合、まずは1年の間で実際に支払った医療費の総額から、生命保険や損害保険などで支払われた給付金額を引きます。

さらにそこから10万円を引いた額が、医療費控除額です。

総所得200万円以上の医療費控除計算方法
1年間の医療費総額-保険金などで補填される金額-10万円=医療費控除額

年間の総所得が200万円を超えない場合

総所得が200万円以下であれば、年間医療費が10万円以下でも医療費控除が適用されます。

総所得200万円以上の計算方法と同様に、1年間の医療費の総額から、生命保険や損害保険などで支払われた金額を引きます。

さらにそこから総所得の5%を引いた額が、医療費控除額です。

総所得200万円以下の医療費控除計算方法
1年間の医療費総額-保険金などで補填される金額-総所得×5%=医療費控除額

歯列矯正で医療費控除のやり方

歯列矯正の費用は、症例によっては医療費控除の対象になります。

検査代や治療費、交通費などの領収証は必ずとっておきましょう。

その他確定申告書や本人確認書類の写しなどを準備し、自分の住所地の税務署に提出します。

直接出向くか郵送する以外にも、ネット申告することも可能です。

歯列矯正は医療費控除の対象になる?

支払い

医療費が10万円以上になったとはいえ、誰でも医療費控除を受けられる訳ではありません

歯列矯正で、医療費控除の対象になる場合、ならない場合とはどのようなケースなのでしょうか。

ここでは、どんな内容が医療費控除の対象になるのかを解説します。

子供の歯列矯正は基本的に医療費控除の対象!

子供の歯列矯正は、基本的には医療費控除を受けられます。

子供が健やかに成長するためには、正しい噛み合わせや歯並びが大切ですよね。

最終判断は税務署になりますが、子供の適切な成長のために必要な治療行為とみなされる歯列矯正は、医療費控除を受けられるケースが多いです。

特に中学生くらいの年齢までだと、医療費控除の対象になります。

大人の場合、容ぼうを美化する目的の歯列矯正は医療費控除の対象外

いまは安価なプランも増えており、大人でも歯列矯正を行う人は多いです。

歯列矯正を考えている人の中には、噛み合わせが悪くて頭痛がしたり、歯並びによって食事や会話がしにくいなど、日常生活に支障が出る人もいますよね。

その場合は病気の治療目的と認められるので、医療費控除の対象になります。

しかし美しい歯並びを目指したいというような、審美目的の治療は医療費控除の対象になりません。

歯列矯正で医療費控除を受けたい人は歯科医師から診断書をもらいましょう

大人の歯列矯正の場合は医療費控除の申請をしても、審美目的とみなされて税務署の判断で通らない場合があります。

確実に医療費控除を受けたい人は、歯科医師から診断書をもらいましょう。

医師の診断書があれば、治療目的ということが証明されるのでスムーズに医療費控除が受けられます。

歯列矯正で医療費控除の対象となる費用

矯正

歯列矯正の治療は、リーズナブルなプランでも数十万かかる場合が多いです。

治療以外にもお金がかかるので、医療費控除を申請しない手はないですよね。

しかし歯列矯正の中には、医療費控除の対象になる費用ならない費用があります。

医療費控除の対象になる費用例
  • 治療費
  • 診断費
  • 検査費
  • 処置、調整代
  • 治療に必要な医薬品の購入費
  • 公共交通機関での通院費
  • 矯正器具の購入費

分割払いやデンタルローンを利用した場合も医療費控除対象となる

歯列矯正の治療は高額なので、分割払いやデンタルローンを利用する人も多いです。

医療費控除対象の治療であれば、分割払いやデンタルローンでも控除を受けられます。

デンタルローンは、信販会社が治療費を立て替えて一括で支払うシステム。

医療機関側からすると、デンタルローンを契約したタイミングで全額支払いが完了しています。

一度に全額が医療費控除の対象になるため、節税効果も高いです。

分割払いは、支払った年ごとに申請が必要。

なお、金利手数料は控除対象にはならないので注意してください。

歯列矯正は医療費控除でいくら戻る?

疑問

治療や検査代、交通費など、医療費控除の対象が幅広いことがわかりました。

では医療費控除を利用すると、具体的にどれくらいの金額が還付されるのでしょうか。

医療費控除でいくら戻るかは、簡単な計算式でわかります。

還付金は申告してから数ヶ月ほどで口座に振り込まれるので、医療費がまとまったら早めに計算しておきましょう。

医療費控除額の計算式

医療費控除還付金の計算式
医療費控除の金額×課税所得税率=医療費控除還付金額

還付金の目安

医療費控除でいくら還付されるかは、総所得によって変わります。

還付金の計算方法は、医療保険などの給付金がない場合、医療費控除額(年間医療費−10万円)×所得税率です。

医療費控除額は最高で200万円なので、所得が4,000万円以上で考えると目安としては0〜85万5,000円が還付金として返還されます。

還付金の計算例

還付金は、医療費控除金額を算出したのちに割り出します。

実際にモデルケースを使って計算していきましょう。

設定は年間総所得金額が200万円以上と以下の2名で、双方年間医療費が50万円、医療保険などの給付金が10万円です。

ケース1
  • 総所得金額300万円
  • 年間医療費50万円
  • 医療保険などの給付金10万円
ケース2
  • 総所得金額150万円
  • 年間医療費50万円
  • 医療保険などの給付金10万円

還付金の算出方法は以下の通りです。

還付金算出方法
  1. 医療費控除額を算出
  2. 所得税率を確認する
  3. 計算式に当てはめて還付金額を算出する

まずは、医療費控除額を算出します。

1 医療費控除額の算出
所得合計金額計算式

(年間医療費−保険給付金など−10万

もしくは所得の5%)

医療費控除額
ケース1300万円50万円−10万円−10万円30万円
ケース2150万円50万円−10万円−(150万円×5%)32万5,000円

医療費控除額はケース1が30万円、ケース2が32万5,000円です。

続いて、所得税率を確認します。

2 所得税率の確認
所得合計金額(課税所得額)所得税率
1,000円〜194万9,000円5%
195万円〜329万9,000円10%
330万円〜694万9,000円20%
695万円〜 899万9,000円23%
900万円〜1,799万9,000円33%
1,800万円〜3,999万9,000円40%
4,000万円以上45%

参考:国税庁ホームページ

所得税率は、ケース1が10%、ケース2が5%です

最後に、計算式に当てはめて還付金額を算出します。

3 還付金額を算出する
所得合計金額計算式

医療費控除額×総所得税率

還付金額
ケース1300万円30万円×10%3万円
ケース2150万円32万5,000円×5%1万6,250円

還付金額はケース1が3万円、ケース2のが1万6,250円とわかりました。

歯列矯正が100万円だと医療費控除でいくら戻る?

歯列矯正の費用が仮に100万円だとしたら、医療費控除でどれくらい戻るのか見ていきましょう。

総所得によって変わりますが、仮に所得が900万円だとすると以下の通りになります。

  • 100万円−10万円=90万円
  • 90万円×33%=29万7,000円

29万7,000円が、医療費控除として戻るお金です。

つまり本来100万円の歯列矯正治療が、70万3,000円で受けられるということになります。

子供の歯列矯正は医療費控除でいくら戻るの?

子供の歯列矯正の場合も、算出方法は同じです。

子供の保護者(納税者)の総所得で、医療費控除の還付金額を割り出します。

還付金の目安としては、0〜85万5,000円です。

子供の歯列矯正で医療費控除の計算

納税義務のない子供の歯列矯正の場合、子供の保護者(納税者)の所得で計算をしますが、計算方法は変わりません。

子供の歯列矯正での医療控除の計算
  • 年間の歯列矯正費−生命保険などの給付金−10万もしくは納税者の所得の5%=医療費控除額
  • 医療費控除額×納税者の所得税率=還付金額

例えば、歯列矯正費が50万円、生命保険の給付金が10万円、納税者の所得が300万円の場合で計算すると以下の通りです。

  • 50万円−10万円−10万円=30万円(医療費控除額)
  • 30万円×10%=3万円(還付金額)

歯列矯正の医療費控除はいつ戻ってくるの?

歯列矯正の医療費控除は、申請時期や申請方法によって戻る時期が違います。

目安としては、申告してから1〜1.5ヶ月です。

通常であれば確定申告期間である2月16日~3月15日に申請するため、3月〜4月あたりには戻るでしょう。

しかし税務署の審査に時間がかかったり、申告期間のギリギリに提出するとその分遅くなることがあります。

2ヶ月くらいはかかると思って待ちましょう。

また、ネットを使った電子申告e-Taxを使えば、2〜3週間と迅速に振り込まれます。

急いで還付してほしいという人は、e-Taxを利用してみてください。

歯列矯正で医療費控除の申請方法

書類申請

続いては、歯列矯正で医療費控除を申請する方法について解説します。

手続きに必要な書類を用意できなかったり、期限を過ぎてしまってはその年に申請できません。

正しく申請して、医療費控除を受けられるようにしましょう。

医療費控除の申告をするときに必要なもの

医療費控除申告書提出時に必要なもの
  • 医療費控除の明細書
  • 確定申告書(※AまたはB様式)
  • 医療通知書
  • 還付金の振込先口座番号
  • 印鑑
  • マイナンバーカード(※マイナンバーカードがない場合、本人確認書類とマイナンバーの記載がある書類)

子供の歯列矯正で医療費控除に必要な書類

子供の歯列矯正で医療費控除に必要な書類
  • 医療費控除の明細書
  • 納税者の確定申告書(※AまたはB様式)
  • 医療通知書
  • 還付金の振込先口座番号
  • 印鑑
  • マイナンバーカード(※マイナンバーカードがない場合、本人確認書類とマイナンバーの記載がある書類)

いつまでに医療費控除の手続きはすればいいの?

医療費控除の手続きは、医療費を支払った翌年の確定申告期間内(2月16日〜3月15日)までに手続きする必要があります。

例えば2022年内に支払った医療費の控除を受けたい場合、2023年の2月16日〜3月15日に手続きをしなくてはなりません。

しかし、確定申告をしない会社員の場合は、確定申告期間より前でも手続きが可能です。

歯列矯正で医療費控除は診断書なしで受けられる?

歯列矯正の医療費控除には、必ずしも診断書は必要ではありません。

噛み合わせで日常に支障をきたす、会話がしにくいなど、病気の治療目的ということが証明できれば大丈夫です。

しかし控除が認められなかった場合は、医師の診断書が必要になることも。

診断書の費用は自費になるので、用意する必要性があるのかどうか事前に確認しましょう。

医療費控除以外で歯列矯正の費用を安く抑える方法

矯正

医療費控除で還付されるとはいえ、その金額には限度があります。

また大人の場合、症状によっては医療費控除を受けられないですよね。

そうなると、そもそもの費用を安く抑えた方がよいと考える人もいるのではないでしょうか。

ここでは、歯列矯正の費用を安く抑える方法を紹介します。

マウスピース矯正を選ぶ

昔からあるワイヤー矯正に変わり、いまマウスピース矯正を始める人が増えています。

マウスピース矯正は、従来の矯正方法よりも安価に治療が受けられると人気です。

透明なので目立たなく、周囲に気づかれにくいのもメリットのひとつ。

医療費を少しでも安く済ませたいという人は、マウスピース矯正がおすすめです。

部分矯正で治せるか検討する

歯列矯正には、口腔内全体の歯並びを治療する全体矯正と、前歯のような一部分を矯正する部分矯正があります。

当然ですが、一部分のみを治療する部分矯正の方がリーズナブルです。

歯列によっては全体を治療する必要がない場合もありますので、部分矯正で治せるかどうかカウンセリングで相談してみましょう。

歯列矯正の医療費控除に関するよくある質問

質問

ここでは、歯列矯正の医療費控除について多く寄せられる質問について回答していきます。

マウスピース矯正や、子供の歯列矯正を考えている人はぜひ参考にしてください。

マウスピース矯正でも医療費控除は受けられるの?

マウスピース矯正でも、医療費控除が受けられる場合があります。

マウスピース矯正は原則自由診療なので、費用が高くなることが多いですよね。

理想の歯並びを目指す審美目的の治療では、医療費控除は受けられません。

しかし、歯並びや噛み合わせによって日常生活に支障がある場合、病気の治療と認められるため医療費控除を受けることが可能です。

子供の歯列矯正で医療費控除は診断書なしで受けられる?

子供の歯列矯正のほとんどは、診断書がなくとも医療費控除を受けることが可能です。

なぜなら子供の歯列矯正は審美目的ではなく、治療を目的としたものだと税務署にも認識されています。

よほどのことがない限り、診断書がなくても医療費控除を受けられるでしょう。

医療費控除の手続きは誰がするの?

医療費控除の手続きは、通常であれば歯列矯正を受けた本人が行います。

会社勤めの人は通常年末調整を行いますが、医療費控除を受けるには確定申告を行う必要があります。

会社に提出しても手続きをしてくれないので、医療費控除を受けたい人は自分で必要書類を揃えましょう。

歯列矯正の医療費控除は住民税も安くなるの?

歯列矯正の医療費控除は、住民税も安くなる場合があります。

所得にかかる住民税率は、金額に関係なく一律で10%です。

そのため、医療費控除額の10%が減額。

住民税は還付されるのではなく、翌年からの金額を調整して差し引かれます。

歯列矯正の医療費控除まとめ

まとめ

歯列矯正の医療費控除についてまとめました。

医療費控除は確定申告が必要なので、難しくて申請していないという人も多いです。

しかし、必要書類を揃えて指示通りに必要事項を記入していけば、誰でも簡単に申請することができます。

子供の歯列矯正だけではなく、いま人気のマウスピース矯正が対象になる場合も。

自分の歯列矯正治療が対象になるかわからないという人は、住んでいる地域の税務署、または歯科矯正の医師に直接相談してください。

医療費控除の制度を利用して、高額になりがちな歯列矯正の費用を少しでも抑えてみてはいかがでしょうか。

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